銀河英雄伝説外伝2 ユリアンのイゼルローン日記
2017年 11月 12日
田中芳樹(2008年)「銀河英雄伝説外伝2 ユリアンのイゼルローン日記」創元SF文庫(徳間ノベルズ1987年)
ヤン側の話を読みたくて、外伝1より先に2を読み始めてしまった。
面白い!このまま、永遠に読んでいたい。ラインハルトが登場しなければ、ずっと続いたかもしれないお祭り騒ぎ。ユーモアを言葉にすることが、皆上手だ。
ヤンもラインハルトも、未来を予測して行動しているが、不確定要素のために予想外の展開が避けられない。ひとこと「運」と言ってしまえばそれまでだけれども。
『無実で殺された人々』という本は、ヤン提督の書棚からひっぱりだしてきたのだが、警官のでっちあげや裁判官の無能や検察官の独善のためにまちがって死刑にされた人々のことが書かれている。…民主主義の国でもこんなことがあるのだ。
ヤン提督の字で書き込みがあった。
「このような書物が出版されねばならない、ということは悲しむべきである。同時に、このような書物が出版されえたということ、それを禁止する法律がないということは、ともに喜ぶべきである」
~「第一章 偶数年のできごと」より~
ヤン提督は、しつこくつきまとうインタビュアーが嫌いなはずだったのだが、
「私はジャーナリストを嫌ったことは一度もないよ。ジャーナリストを称する一部の寄生虫が好きでないだけだよ。政治的な圧力をかけられるようなことをさけて、一般市民のプライバシーや名誉に傷をつけたり、もっと積極的に、権力者の利益を代弁するような奴らが嫌いなだけさ」
~「第四章 帝国の提案」より~
「近代以降、戦争を精神的に指導してきた文化人や言論人が、最前線で戦死した例はない」
~「第五章 旧住民VS新住民」より~
by saint05no44
| 2017-11-12 22:00
| 読書日記